ストーリーテリングのやり方!ビジネスでブランドを構築するために
強固なブランディングの構築には機能的価値と感情的価値の2つを満たすことが重要になってきます。
機能的価値は商品のスペック、自分の実績などなど定量的に測ることができる価値のことですが、機能的価値には限界があります。
なぜならどの業界であれば機能的価値は上には上がいて、機能的価値で推し量るとその業界のトップで走っている人や物にしか価値がないということになってしまうからです。
だからこそ機能的価値だけではなく、「好き嫌い」をベースにした感情的価値を満たすことが重要になってきます。
今回はその感情的価値を満たす上で非常に有効なテクニックである「ストーリーテリング」について解説をしてみました。
ストーリーテリングについて動画で解説
ストーリーテリングとは?
「ストーリーテリング」とは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のことです。
出典:コトバンク
「ストーリーテリング」とはここに書かれている通り、要するに「物語を語る」ということです。
人間は「物語」がとても好きな生き物です。
人間は理性を持っていて、その理性にもとづいて論理性を重視した文章を書くことがありますが、実はこれは本来の人間の性質には必ずしもマッチしているとは言えません。
聖書、神話などを読めば分かるように人間は太古の昔から「物語」を作ってきました。
あなたも幼い頃に寝る前お母さんに絵本の物語を読んでもらった経験があるかもしれません。
人間の体にはこのように「物語」が染み付いているため、何か物事について理解をしようとする際、論文チックに説明をされるよりも、漫画などで物語調にして説明されたほうがかなり分かりやすいのです。
物語で話されると人の記憶や印象に残りやすく、また良い物語を使うことができれば論理を超えて多くの人々に共感されることができます。
「物語」とはそれだけ人間にとって本質的で普遍的、そして原始的なものなのです。
ストーリーテリングでブランドを築いて差別化を図る
こうした物語を語る手法、つまりストーリーテリングは近年ではブランドの感情的価値を満たし、より濃いブランドのファンを作るために利用されていたりします。
例えば世界的ファッションブランドであるルイヴィトン。
実はルイヴィトンは東日本大震災以降、宮崎県気仙沼の牡蠣養殖産業を植樹を行うことで保護する「森は海の恋人」運動に積極的な支援を行っています。
ご存知の通り、ルイヴィトンはファッションブランドですが、そんなルイヴィトンがなぜなんの関係もなさそうな牡蠣の養殖産業を支援しているのでしょうか。
実はその背景には「森林を大切にする」というルイヴィトン設立当初からの「物語」が関係しています。
ルイヴィトンはそもそもはトランク製作を手がける事業としてスタートしました。
創業者であるルイ・ヴィトンは元々は木材で特別な箱を作ることに長けた職人でこの技術を活かしてトランク製作専門のブランドを立ち上げたのです。
ルイヴィトンのルーツにはこうした木材を大切に扱い、それを支える森林を大切にするという想いがあります。
だからこそ、「森は海の恋人」と名付けられたこの運動に対して、想いを同じくするルイヴィトンが同調し、支援を申し出たというわけです。
こうしたブランド戦略は非常に巧みです。
近年は社会的責任の観点から環境に配慮した活動をする企業が目立ちますが、それもただやればいいというわけではなくて、そこに何かしらの共感できる理由がなければ「ただイメージアップのためだけにやってるんだろ」と思われてしまいます。
しかし、ルイヴィトンの例のように自分のブランドの「物語」を引き合いに出すことで支援に必然性を持たすことができれば、他の企業とは違ったより強固なブランドを作ることに繋がります。
ストーリーテリングを情報発信ビジネスへ応用するやり方
情報発信ビジネスでもこうした「物語」を使って差別化を図っていくことが重要です。
情報発信ビジネスでは大体のテーマというものが決まっているので、テーマに関しては皆似たり寄ったりなものになりがちです。
例えば稼ぐ系の情報発信をしている人の言わんとしていることは、ほとんど「自分でお金を稼ぐ力を手に入れて自由になろう」でしょうね。
しかし、「自由になろう」とはいっても発信をする人によってそこに至った過程やそれを支える論理、つまり「物語」は違うはずです。
「ブラック企業勤務で平均睡眠時間3時間の生活から抜け出したかった」
「場所や時間から開放されて自由に世界を旅して周りたいと思っていた」
「大切な家族ともっと多くの時間を過ごせるようになりたかった」
論理、つまり機能的価値を追求していくとどうしても自分よりも機能性が高いもの、実績が高いものに勝つことができません。
しかし、このような自分の情報発信の核となるストーリーを展開していけば、それに共感した人が機能的価値を超えてあなたのファンになってくれます。
ある程度の機能的価値を追求していくことは大切ですが、機能的価値だと上には上がいるため、それだけで多くのファンを作ることは難しくなってきます。
よって、それだけでなく「なぜこの情報発信をするのか」という理念の部分を明確にして「ストーリーテリング」で感情的価値を高めることも意識し、ブランドを形成していくと良いでしょう。