【理性と感情の関係】人間の思考の2つのベクトルを理解しよう
人間の思考には「理性」と「感情」という2つの大きなベクトルが存在します。
これらが僕達の頭の中でせめぎ合い、あらゆる行動を起こしているのです。
ビジネスを仕掛ける側は特にこの「理性」と「感情」のバランスを保つことが重要になってきます。
人間は基本的に感情的な生き物なので、何か商品を売る際は相手の感情に訴えかけるようなアプローチを取るべきですが、トラブルシューティングなど冷静に状況を分析して解決策を実行していく場合はどこまでも論理的に考えなければなりません。
今回はそんな「理性」と「感情」に関するお話です。
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理性と感情について動画で解説
【理性と感情の関係】人間の思考の2つのベクトル
僕たち人間の思考にはこの図のように「理性」と「感情」の2つの大きなベクトルが存在します。
僕はこれをそれぞれ「タスク思考」と「ヒューメイン思考」と呼んでいます。
「理性」と「感情」の違いを理解するために、ここで簡単な例を挙げましょう。
「こたえる」という漢字は「答える」と「応える」の2つがありますね。
この2つの差こそがまさに「理性」と「感情」の違いを表しています。
例えば、愛する我が子を幼くして亡くしたお母さんがいるとします。
このお母さんが涙ながら に「先生、私の息子はどうして死んでしまったのでしょう…」とつぶやいたとしましょう。
それに対して、「答える」のであれば、
となるでしょう。
しかし、もしも「応える」のであれば、
となるかもしれません。
前者があくまで理性に基づいて客観的な事実を述べているのに対して、後者では感情に配慮して寄り添うように反応をしています。
この例であれば、「答える」よりも「応える」ことをすべきでしょうね。
「理性」と「感情」はバランスを保つのが大事
人間は基本的に感情的な生き物です。
「嫌いな上司からの正しい命令」と「好きな上司からの嫌な命令」だったら、多くの人は後者のほうを優先させます。
これ自体は特に悪いことではありません。
しかし、ビジネスの場ではこれらは状況に応じて適切に使い分ける必要があります。
例えば何か商品について紹介をする場合、人間はまず感情で反応をするので「感情脳」を駆使して共感を呼べるコピーやキャッチフレーズを書いていく必要があります。
興味をもたれやすい漫画調にしてストーリー性を持たせるのも有効ですね。
しかし一方で、いくら共感を呼ぶことができてもきちんとその商品を買うことのメリットを事実にもとづいて順序立てて説明することができなければ、共感はされても納得はされず制約には至りません。
また何かトラブルが起きた際にもいちいち感情で反応してしまっていたら、原因を冷静に分析して問題の解決を図ったり、その経験を次に活かすことも難しいでしょう。
このように「理性」と「感情」は使う場面を考えて、バランスを取っていくことが重要です。
「理性」と「感情」を磨く方法
「理性」を磨く方法
理性を強くするのに最も簡単な方法はロジカルシンキングを身につけることです。
いつもいつも感情で判断して行動をしてしまう人は、それまでの慣習や人の意見を疑わない傾向にあります。
これを避けるためには常に物事に対して懐疑的になること、つまり「なぜ?」と問いかけることです。
世の中にはよくよく考えて見ると「それまでずっとそうやってきたから」「それが常識だから」という理由だけで非合理的なことが普通に行われているケースがたくさんあります。
例えば、年賀状。
メールという媒体が発達した現在、「あけましておめでとうございます」を伝えるのにわざわざ紙の年賀状を送る必要性はかなり薄くなってきたでしょう。
メールなら年賀状と違って一瞬で届きますし、お金もかかりません。
もちろん、「くじがついているから」「手書きで書いたほうが暖かみがあるから」などの年賀状にしたい理由があるのなら良いのですが、おそらくたいていの人は「新年は年賀状を送ると昔から決まっているから」という理由で送っています。
年配の人ほどこの傾向が強いです。
このように「そもそもなんでそうなの?」と考える癖をつけることで、より理性的な判断を下す思考回路が強くなっていきます。
ロジカルシンキングについては数多くの本が出ているので興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。
ちなみに僕のオススメは『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」(2007/12/7)』という本です。
「感情」を磨く方法
人間は感情的な生き物なので、感情を強化するのは比較的簡単かと思いがちですが、「理性」を磨くよりも「感情」を磨くことのほうが難しいです。
まず、感情を磨くには「質の高いものに触れる」という方法があります。
映画、漫画、小説、絵画、音楽、彫刻、オブジェ、ガジェットなどなど、何か自分がパッと見た時に「いいな」とか「センスがあるな」と思ってしまうものを探しましょう。
そして、「なぜそれを自分はいいと思ったのか?」と一度深く考えてみることです。
前述の通り、人はまず感情を使って反応をします。
よって、あなたが思わず「いいな」と思ってしまったものには、そうした人の感情面に訴えかけるような何かしらの特徴があるはずです。
そうして「センスがいいものの特徴」を自分の中にストックしていくことで、いざ自分が何か表現しようとする時に非常に役に立ちます。
そしてもう一つが「人間関係の中で揉まれる」という方法です。
やはり人の感情を理解できるようになるためには人の中で自分を鍛えなければなりません。
その時に参考にしたいのがテレビ番組の司会者やお笑い芸人の場の回し方。
彼らは番組の最中、「番組を盛り上げるためにはどうしたらいいのか」「ゲストから話を引っ張り出すにはどんな質問をすればいいのか」「どうしたらこの場がうまく回るようになるのか」など毎回毎回非常に多くのことを考えています。
彼らの一挙手一投足は非常に洗練されていて、「盛り上げる」という一つの目的に向かって、それぞれの人の特徴な場の雰囲気を参考にしながらパスのルートやシュートのイメージを考えてうまく立ち回っているのです。
こうした人たちを参考にして、それを自分の中にも取り入れて実践していくと、人に共感してもらうためのテクニックや考え方が身につきます。
まとめ
ということで今回は「理性」と「感情」について解説をしました。
「理性」と「感情」は人によってどちらの脳のほうが強いか違います。
「いつも人に流されてしまう」「ついついカッとなってしまう」という方は感情脳、「理屈っぽいと言われる」「物事に集中しているとそれ以外何も見えなくなる」という方は理性脳の割合が大きい傾向にあります。
「理性」と「感情」はあくまでも状況に応じて使い分けることが重要ですので、自分がどちらかに偏っているなと思う方はぜひバランスを意識していきましょう。