【拡散思考と収束思考の違い】発想力を鍛えて良いアイデアを出す方法

拡散思考 収束思考

人間の思考には「拡散」と「収束」という2つの側面があります。

これは「感情」と「理性」や「ラテラル」と「ロジカル」というふうに様々に言い換えることができます。

いずれの場合もこの2つの思考の性質を理解し、状況に応じてうまく使い分けることができれば、より質の高い思考へと繋がり、優れた企画のアイデアや問題の解決方法を見出すことができます。

今回はこの「拡散思考」と「収束思考」について取り上げてみました。

 

拡散思考と収束思考について動画で解説

 

拡散思考と収束思考の違い

収束思考拡散思考は20世紀のアメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードが提唱した概念です。

 

拡散思考とは

拡散思考とはすでにある情報を元にして考えをどんどん広げていき、今までにはなかった新しいアイデアを出していく思考です。

あらゆる条件を無視して、あるテーマに関して思いつくことを一切否定せずにとにかくアイデアを膨らませていきます。

これはまさにブレインダンプの作業ですね。

箱の中に入っているアイデアを箱から出して、それを膨らませていくイメージです。

 

収束思考とは

収束思考とはすでにある情報を元にして、ある一つの正解を見つけていく思考です。

目の前にあるアイデアをグループ分けしたり、因果関係を整理して見やすいようにまとめていきます。

拡散思考で膨らませたアイデアを箱の大きさに収まるようにコンパクトにまとめていくイメージです。

 

拡散思考でアイデアを出し、収束思考で具体化していく

収束思考 拡散思考

「発想する」とか「斬新なアイデアを出す」などと聞くとどうしてもセンスの世界だと思われがちです。

しかし、実は優れたアイデアを生み出す方法というのは、人類のこれまでの歴史の中であっと驚くような発明が出来上がったケースを元にしてある程度体系化されているのです。

その方法の一つが拡散思考と収束思考の組み合わせです。

既存の枠組に縛られない新しい発想でアイデアを出していくためには、拡散思考を使ってとにかく考えを無限に広げていくことが向いています。

そして、そのアイデアをまとめ上げてよりコンパクトに具体的な形で表現するのには収束思考を用いていきます。

拡散思考思考では、アイデアはたくさん出てきますが、それらは自由な発想から生まれたものなので実行の可能性や論理的な裏付けがありません。

一方で収束思考だけでは現在の延長線上からしか物事を考えられないので、これまでと似たり寄ったりなアイデアしかでません。

よってこれら2つの良いところを合わせ、拡散思考で思考の枠組みを広げ、収束思考でそれらに論理性をプラスしていくのです。

この拡散思考と収束思考を使った発想方法で代表的なのものに「KJ法」があります。

KJ法では次の4つのステップを使ってアイデアを出していきます。

KJ法

出典:http://crew-lab.sfc.keio.ac.jp/lectures/kj/kj.html

  1. テーマに沿って、とにかくたくさんのアイデアをポストイットに書き出していく
  2. 関連性のあるカードを重ねてグルーピングし、そのグループの名前を決める
  3. グループ化されたカードを1枚の大きな紙の上に配置して図解を作成する
    (大グループ、中グループ、小グループのようにより細かく分けていく)
  4. グループ間に論理的な関連性ができるよう大グループのカードの束を並び替えて文章化する

この方法は企業の研修などでやったことがある方も多いのではないでしょうか。

デザイナーなどのクリエイティブさが求められる仕事についている方は同僚と毎日のようにやっているかもしれませんね。

かくいう僕もこのKJ法は会社での研修を始めとして様々な場面で使いました。

例えば「理想の社会人」というテーマに沿って4人でKJ法を使ってアイデアを出していくとしましょう。

そうするとこのようにたくさんのアイデアが出てくると思います。

KJ法

そしてこれらを大まかにグループしていきます。

KJ法

そしてそれらのグループに名前をつけていきます。KJ法

例としてこのようにグルーピングしてみました。

あとはこれを「私たちは理想の社会人に必要な要素は主に3つだと思います」というようにして発表をしていきます。

実際にKJ法をうまく使いこなすにはさらに訓練を重ねたり工夫をすることが必要になりますが、これで多少なりとも拡散思考と収束思考のイメージが浮かんだのではないかと思います。

 

人によって得手・不得手がある

実は人によって拡散思考が得意であったり、収束思考が得意であったりします。

拡散思考が得意な人は物事の関連づけがうまい人で、謎掛けを作る、IQテストやなぞなぞを解く、ラテラルシンキングなどの発想力が求められることを行うのが得意です。

一方で収束思考が得意な人は、数学の方程式を解く、ものを組み立てる、ロジカルシンキングなどの一つの正解に向かって物事を掘り下げていくことが得意です。

自分は拡散と収束、どっちが強いのかを把握しておくと、盲点になっている部分を見つけやすくなり、問題の解決がスムーズになったりします。

手にも右利きと左利きがありますね。

要するにはこれと同じでどちらのほうが強いのかを把握をしておくことで場面に応じて使い分けをすることができるということです。

ちなみに僕はというと自分でいろいろと分析した結果、収束思考にほうが強いみたいです。

 

拡散と収束は使い分けが大事

ということで今回は拡散思考と収束思考について記事にしてみました。

普段自分の思考にどんな癖があるのかということはあまり考えることがないと思いますが、こうして自分が拡散思考タイプなのか収束思考タイプなのか把握しておくと意外と便利です。

優れたアイデアを出すためにはこのどちらの思考も欠かすことができないので、自分の思考の偏りを把握して、状況に応じて使い分けを行っていきましょう。

2016年10月22日 | Posted in Thinking Method

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