SXOとは?SEOとの違いや基本的な対策方法について紹介
「SEO」と言えば、インターネットを使ったビジネスを展開している人であれば誰でも知っている単語でしょうが、ここ最近はこの名称が少し変わって、新しいコンテンツ作りの考え方が主流になってきています。
その名も”SXO(Search Experience Optimisation)“。
今回はこの”SXO”について、SEOが変化してきた背景や現時点で考えられるSXOの基本施策なども交えながら解説をしてみました。
今後のWebマーケティングは間違いなくこの方向に進んでいくので、今からSXOについて理解を深めておきましょう。
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SXOとは?
“SXO”とは、一言で言うならば「いかに検索ユーザーの意図を捉えたコンテンツを作成し、ユーザーの検索体験を満足のいくものにできるかどうか」を考える施策のことです。
これだけ言われてもちょっと難しいので、より詳しく説明をしていきましょう。
この言葉が初めて登場したのは2015年”Search Engine Land”という海外の最新SEOについて書いているサイトに”From SEO To SXO: Search Experience Optimization(SEOからSXOへ)”という記事が投稿されたことでした。(僕が調べた限りでは)
これを読んでみるとSXOを理解する上でまずキーワードとなるのは「検索者の期待」です。
例えば、「SEO」という単語で検索をかけてみた時のことを考えてみます。
その時に検索結果に出てきたサイトの中で、SEOという言葉についてどこのサイトよりも詳しく、かつオリジナリティ溢れる形で書かれていたら、それはいわゆる「質の高いコンテンツ」と言えるでしょう。
しかし、もしもこの検索者が本当に欲しかった情報が「SEOという言葉についての解説」ではなく、「具体的なSEOの施策」に関しての情報だった場合どうなるでしょうか?
この場合、「SEOという言葉についての解説」に関していくら素晴らしい情報を提供していても、「検索者の期待」に応えることができていないために、検索者はそのページを離脱してしまう=検索者に対して質の高い情報を提供できていないことになります。
Googleの目的は「ユーザーにとって質の高いコンテンツを上位表示させる」ことですが、これはそのユーザーがどんな情報を得ることを期待して検索をしているのかと深く関係しています。
また、たとえ記事の内容が検索者の期待と一致していても、表示速度が遅かったり、広告ばかり貼ってあったりしたら「このサイトは見なくていいかな」と思われてページを閉じられてしまう可能性が高くなります。
SXOとは、こうしたユーザーの検索結果ページ表示⇒サイト表示⇒コンテンツ閲覧⇒コンバージョンまでの一連の体験全てを最適化すること。
検索者の期待と関連性が高い情報を揃えてできるだけ長い間自分のサイトの中に留まってもらったり、より多くの訪問者にメルマガ登録や資料請求などのサイト運営者にとって意味のある行動をとってもらうことが目的です。
つまり、SXOとは検索ユーザーのページ離脱率を最小限に、コンバージョン率を最大限にするための施策と捉えられます。
SXOとSEOとの違い
ではこのSXO、従来のSEOとは何が違うのか。
SEOとの違いについておさえておくと、さらにSXOについての理解が進むと思われるので、SEOの推移と合わせてこちらも見てみましょう。
SEOの時代
SEOとは言わずもながら、狙ったキーワードで検索の上位表示を目指す施策のこと。
Googleの検索エンジンは誕生からずっと、「ユーザーにとって質の高いコンテンツを上位表示させる」ことを目標にやってきましたが、これを実現することは世界中の天才たちが集まったGoogleでも簡単なことではありませんでした。
一体何をもって「質が高いコンテンツ」と判断をするのか。
この判断を下すための技術(アルゴリズム)がなかなか確立できなかったために、サイト運営者はユーザーに高く評価されるコンテンツではなく、以下のような「検索エンジンに高く評価されるコンテンツを作ること(=SEO)」に焦点を合わせてきたのです。
- 記事タイトルにキーワードを詰め込む
- 記事本文にキーワードを詰め込む
- 被リンクをたくさん獲得する
しかし、これではもちろん検索ユーザーの期待を無視した低品質なサイトばかりが上位表示されてしまい、Googleはさらなるアルゴリズムの開発に奔走します。
“Contents is king”の時代
やがて、Googleのアルゴリズムが進化したことで、SEOはその定義をより大きくしていきます。
“Contents is king”の時代では、「サイトにとってコンテンツが最も重要である」という考え方の元、旧来のSEOでは通用していた低品質な被リンクを使って無理やり上位表示を狙う手法などが全く効果をなさなくなりました。
いわゆる「パンダアップデート(2012年)」や「ペンギンアップデート(2013年)」というやつですね。
その代わり重要になってきたのが以下のようなこと。
- 記事の内容にオリジナリティがあるか
- 記事のタイトルと内容が一致しているか
- 頻繁に更新されているサイトかどうか
- サイト内滞在時間はどうか
Googleのアルゴリズムがより複雑な判断ができるようになり、当初の目的である「ユーザーにとって質の高いコンテンツを上位表示させる」という仕組みに一歩近づいた時代です。
これによりSEOとは単純に「検索エンジンに高く評価されるコンテンツを作ること」ではなく「コンテンツの質を高めること」という範囲にまで広がっていきました。
SXOの時代
そして、そこでさらに出てきたのが”SXO”という考え方。
“Contents is king”の考え方によって、SEOにおいても検索ユーザーの意図を理解してコンテンツを作るのが当たり前になってきたのはさきほど紹介した通りですが、SXOはそれを極限まで推し進めた形です。
SXOでは、SEOのように検索結果に上位表示をさせることではなく、いかにユーザーにとって満足のいく検索体験を提供できるかどうかに焦点を合わせます。
- SEO:狙ったキーワードでの検索エンジンでの上位表示を狙うこと
- SXO:検索結果ページからコンバージョンに至るまでのユーザーの利便性全般を考えること
仮に「SXO とは」という単語の検索結果で1位を取れた場合、それはSEO的に言えば成功でしょうが、SXO的な観点から言えば必ずしも成功とは限りません。
たとえ1位を取れたとしても、ユーザーがそのページを開いて最後まで読まずにすぐ離脱をしてしまったり、メルマガ登録などのコンバージョン率が低かったりすればそれはSXO的には失敗です。
つまり、SEOとは検索結果に上位表示させて訪問者の量を増やすこと、SXOとは訪問者の質を上げること(ex.コンバージョンに繋げること)と捉えられそうです。
しかし、SEOとSXOが全く関係のないものかと言われればそうではありません。
この通りSXOとSEOは別次元の話に見えますが、SXOをすることが結果SEOにもつながって検索結果での上位表示もできます。
というより、これからの時代はSXOを本気で考えていかないと上位表示が難しくなると言えるでしょう。
Googleの公式の発表でもサイトのAMP化(高速表示)やSSL化(セキュリティ強化)も上位表示に影響を及ぼす要因の一つだとありました。
SEOとSXO、ともに「ユーザーにとって質の高いコンテンツを上位表示させる」という考え方は同じですが、既存のSEOの概念では収まりきらないくらい定義が広くなってきたから、新たにSXOという言葉が誕生した形でしょう。
▼検索エンジンに上位表示対策の推移まとめ
- 検索エンジンから高く評価されるサイトにする(SEO)
- ユーザーにとって質の高いコンテンツを作る(Contents is king)
- ユーザーの検索経験全般を最適化させる(SXO) ←今ここ
SXOの基本対策
SXOについてざっくりとでも分かったところで、ではこのSXOを施すにはどうやっていけば良いのか。
SXOでは
- そのコンテンツが検索者の期待に応えているのか
- そのコンテンツをどのような形で訪問者に届けるのか
という部分がかなり重視されます。
ざっくりですが”Contents is king”時代の考え方とは別に、SXOに関して考えられるものについて簡単に挙げてみました。
素早く必要な情報を伝える
UXの専門家であるJakob Nielsen氏が行なった調査では、ほとんどのサイト離脱者は最初の10秒で離脱しているようです。
つまりは10秒で検索ユーザーに「この記事は読む価値があるな」と思わせなければならないということ。
よって、
- その記事の結論を最初に持ってくる
- 信用できる情報が書かれていることを素早くアピールする
- サイトの第一印象を整える
こうしたことを考えて情報をデザインしていく必要があります。
サイトの表示速度の改善
こちらは主には”AMP(Accelerated Mobile Pages)“というやつです。
2016年2月にGoogleが導入した、モバイル端末(スマートフォン・タブレット)でのウェブページの表示を高速化するためのプロジェクトですが、2015年12月9日Googleは、「AMPに対応したページは検索順位が上昇するかもしれません」とコメントしました。
⇒ 2015年12月9日の米サンフランシスコで開かれた記者会見にて
その記事に何が書かれているのかを素早く伝えることにも繋がりますが、なかなか表示されないサイトはユーザーの検索体験を損ない、離脱する大きな要因になります。
サイトのセキュリティの改善
こちらは主には”SSL(secure sockets layer)“のことです。
普通のサイトであれば”http”でURLが始まりますが、SSL化をすると”https“になります。
こちらもGoogleからの発表で検索順位に影響を及ぼすことが語られました。
サイトをセキュアなものにして検索ユーザーに安心して見てもらうこともユーザー体験最適化の一つということでしょう。
ネイティブアドの導入
GoogleのAdSenseを始めとして、最近ではサイト訪問者がコンテンツを閲覧する上で邪魔にならないネイティブアドが主流になってきています。
⇒ AdSense広告の4つの種類|インフィードや記事内広告についても
普通に考えてコンテンツを見ている時に広告が出てきて「やったー広告だ!」となる人はまずいないので、広告はユーザー体験を追求する上ではかなり邪魔な存在です。
しかし、広告を全く載せないわけにもいかないので、せめてあまり邪魔にならないネイティブアドにしようということでしょう。
スマートフォンからの表示最適化
いわゆるレスポンシブ対応というやつです。
ほとんどのWebサイトはスマートフォンやタブレット端末から見た時に、その大きさに合わせて表示されるようになっていると思いますが、ただ大きさを整えただけでは最適化したとは言えないでしょう。
PCだけではなく、スマホから入ってきたユーザーの導線もしっかりと考えてあげることがSXOでは重要になると思われます。
SXOを高めるために有効と思われるツール
現時点でSXOを高めるために有効だと僕が思うツールについて挙げておきます。(随時アップします)
Pt Engine(ヒートマップ)
⇒ ヒートマップ付きアクセス解析ツール | Ptengine
SXOを考える上で重要なのはいかに検索ユーザーを離脱を防ぐか。
よってヒートマップのように検索ユーザーがどこに関心を持って、どこで離脱したのかを丸裸にできるツールはこれからの時代かなり重宝するはずです。
Google Analyticsにヒートマップ機能が追加される日が近いかもしれませんね。
まとめ
ということで今回はSXOについて、その概要やSEOとの違いを紹介しました。
一応SXOについていろいろとかいてみましたが、この言葉自体がまだ生まれたばかりで、わりと人によって違う意味合いで使われているみたいです。
よって、今回はあくまでも僕の定義ということで参考にして頂けると嬉しいです。
またSXOについて何か情報があれば随時アップしていきますね。